Vol.21
05.12.15 更新
『ソニック』シリーズのなかでも、人気の高いキャラクターであるシャドウを主人公にしたシューティングアクション『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』。飯塚隆ディレクターにこのゲームの魅力を語っていただきました。

『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』ディレクター
飯塚 隆(いいづか たかし)
1992年セガ入社。『ソニック・ザ・ヘッジホッグ3』『ナイツ』の企画を担当。『ソニックアドベンチャー』『同〜2』『ソニックヒーローズ』ではディレクターを務める。サンフランシスコにあるセガ・オブ・アメリカを拠点に、最新作『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』をディレクション。
今回、『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』というタイトルがスタートするきっかけは何だったのですか?
これまでずっと『ソニック』シリーズをつくり続けてきましたが、『ソニックアドベンチャー』以降は『ソニックアドベンチャー2』『ソニックヒーローズ』と、3Dになったソニックのスピード感を楽しむことができる「ハイスピードアクション」というジャンルを極めることに専念してきました。
しかし、今回はハイスピードアクションではなく「シューティングアクション」というジャンルで、『ソニック』シリーズの新しいブランドを立ち上げようと思ったんです。そうすることによって、「ハイスピードのソニック」と「シューティングのシャドウ」という、ふたつのブランドを展開できればと思ったのがきっかけです。
主人公にシャドウというキャラクターを選んだ理由を教えてください。
ソニックは今まで14年間、武器を使った攻撃はしませんでした。ソニックはアイテムなどに頼らず何でもできるキャラクターなんですね。我々スタッフもそういったソニックのアイデンティティを大切にしてきたわけです。だから、今回もソニックに武器を持ってもらおうとは思いませんでしたし、せっかく新しいジャンルのゲームを立ち上げるわけですから、そのコンセプトに相応しいシャドウに「シューティングアクション」というジャンルを担ってもらうことにしたんです。もちろん、シャドウというキャラクターの人気の高さも主人公に選んだ理由のひとつです。

▲ソニックに似た姿を持つ黒いハリネズミ「シャドウ・ザ・ヘッジホッグ」。

▲昔、ソニックと共にこの星を救った後、一時消息不明になり、過去の記憶を失ってしまった。
アメリカではソニックに次いでシャドウの人気が高いと伺ったのですが。
ファンレターや掲示板などで、シャドウの人気は実感していたんですが、それは好きなユーザーさんからの意見でしかないですよね。そこで今回、シャドウというキャラクターを主人公にするにあたり、いったいどのくらい認知されているのか、アメリカ各地でフォーカステストを行ったんです。下は8歳から20代までを対象に。
その結果、シャドウはソニックに次いで二番人気だったんです。正確には、都市や年齢層によって違いはあるんですが、どこでもソニックが1位。2位がテイルスかシャドウ、という感じです。シャドウは誕生してからの歴史はそんなに長くないんですが、ソニックに匹敵する人気があるんだと実感しました。
アメリカでは、スーパーマンのようなヒーローキャラがいて、一方ではスポーンのようなダークヒーローもウケていますよね。やはりアメコミ(アメリカンコミック)の影響が大きいんでしょうか。アメリカの子供たちは、ソニックというヒーローキャラ、それに対するシャドウというダークヒーローという図式で見ているんだと思います。フォーカステストを見学した時も、「(シャドウを見て)あのキャラクターは知らない。だけど、悪いソニックなんだろ?」と、誰もがダークサイドのソニックだということを認識してくれて、その結果「COOL(かっこいい)」と言ってました。
今回の『シャドウ』は、武器を使用するアクションが最大の特徴だと思いますが、どのようなアクションゲームに仕上がったのか、お話していただけますか?
今までにつくってきた『ソニック』シリーズは、ハイスピードで展開し、敵との戦いも1ボタンでポンポンポンと気持ちよく、とにかく爽快にステージが流れていくことを肝にしていたわけです。今回は、それに代わるものとして、武器による攻撃、破壊の爽快感にメインフォーカスをあてました。と言っても、シャドウもハイスピードヘッジホッグの仲間ですから、従来のハイスピードアクションも健在です。目の前にいる敵をいかに効率よくなぎ倒しながら走ることができるか、それが成功した時はかなりの達成感を味わえるつくりになっています。
また、今回シャドウを立ち上げる時のキーワードのひとつが「シューティングアクション」だったわけですが、もうひとつのキーワードが「シャドウは、正義か悪か?」。その答えをプレイヤーに決めてもらえるような自由度の高いゲームシステムをつくりたいと思い「マインドシステム」をつくりました。プレイヤーがひとつのステージを「正義と悪、どちらの行動の選択をしてクリアしたのか」によって、その後のストーリー、アクションゲームの展開が変わっていくシステムです。物語は分岐していきますので、繰り返し遊ぶことによって自分なりのシャドウのストーリーを組み立ててほしいですね。

▲ハンドガンやバズーカをはじめ、世界にある「全て」がシャドウの武器として利用可能。

▲「正義か悪か」、記憶を失ったシャドウの心はゲームプレイによって変化します。
ソニックやテイルスなど、おなじみのキャラクターは登場するのでしょうか?
『ソニック』シリーズの特徴のひとつとして、個性溢れる仲間たちが登場することによるバラエティ感といったものがあると思います。今回は、各ステージ毎に、ヒーローキャラ、ダークキャラの必ず両方がシャドウの味方となって、いっしょについてきてくれるんです。ソニック、テイルス、ナックルズなどが、いっしょに冒険してくれますし、声によるナビゲーションは「ソニックヒーローズ」以上なんです。他にもおなじみのキャラは総出演しますのでお楽しみに!

▲各ステージの途中で、シャドウはヒーロー/ダークのミッションキャラクターに出会います。

▲ミッションキャラクターは攻撃をサポートしてくれることもあります。写真はソニック。
ところで、シャドウは m-floやパンクラスなどとのコラボレーションも話題になりましたね。
マーケティングサイドも、今までソニックではできなかった展開にチャレンジしたいと積極的な提案をしてくれました。m-floやパンクラスとのコラボは、はじめ聞いた時はやっぱりびっくりしましたね。例えば m-floに関しては、どのようにコラボしていくか想像できなかったんですが、いっしょに曲を選定したり、プロモーションビデオにシャドウをどのように参加させていくかという話し合いをしていくうちに、だんだん完成型が見えてきて「このような展開も面白いな!」と。ポスターの仕上がりも最高で、m-floの頭がシャドウの髪型になっていますし…(笑)。企画書段階の時は、m-floの二人がまさかこんな髪型をやってくれるわけはないと思っていたんですが、実はかなりノリノリでやってくれたという話を聞いて、とてもうれしかったですね。

▲m-flo とのコラボレーション映像は、『シャドウ』の公式サイトからご覧ください。

▲中裕司クリエイティブオフィサー、シャドウ、飯塚ディレクター。パンクラスのリングの上で。
最後にメッセージをお願いします。
今回の『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』は、今までのソニックではできなかったアイディアを盛り込んで、ボリュームたっぷりのゲームに仕上がりました。「シャドウは、正義か悪か?」、それはこのゲームを隅から隅まで遊んでもらって、是非みなさん自身の手で答えを探し出してください。
日本でもシャドウが、ソニックを肩を並べるキャラクターに育って欲しいと願っています。